言葉について

ここで書くこと――翠雨

エーリッヒ・フロムは『愛するということ』でこう説く。

「実際、集中できるということは、ひとりきりでいられるということであり、ひとりでいられるようになることは、人を愛せるようになるための必須条件のひとつである。
もし自分の足で立てないという理由で他人にしがみつくとしたら、その相手は命の恩人にはなりうるかもしれないが、ふたりの関係は愛の関係ではない。逆説的ではあるが、ひとりでいられる能力こそ、愛する能力の前提条件なのだ」
――エーリッヒ・フロム『愛するということ』

私は言葉に向き合い続けた結果、言葉にしがみついていなかったか。
言葉をより味わおうとするあまり、言葉に管理されてはいなかったか。
言葉を飾るテクニックで、記憶を利己的に色づけ満足してはいなかったか。

これまで自分の内側にこだましてきた言葉たちといったん決別して、ひとりで居られる能力を本当の意味で身につけてみたい。言葉とまた出会いたい。
このままでは自己憐憫の水たまりで溺れてしまう。

日常、通り抜ける風、記憶、内側にある泥の固まり。薄味も濃い味も混ざり合い流れをつけていくようにここで書いてみたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です