日常 - 記憶

海の寝息

1カ月半ぶりに自転車に乗った。今朝は無風。久しぶりでギアの入れ方を忘れてた。いつもの橋の上、足元から地平線まで静かに波が動く。獣が寝息を立ててるみたいで、その静けさに見とれた。写真をとったら鳥が映り込んでた。

海を左側に見ながら、美味しい匂いを吸いながら漕いだ。潮の匂い、草が日に照らされた緑の匂い。

このあいだ友達が、「底に沈んだときって、どうしてああなるんだろう。どうすればいいんだろう」って話していて、私はうまく答えられなくて、そのことを考えてた。

私の底とその人の底は、まったく違う場所なんだろうけど、私の底もわりとたいしたもんだと思っているので、もしかしたら共通しているものもあるかもしれない。暴力的な力というよりは、無音の世界というか。空気が動かなすぎて気持ちも動かなくて、指でつまむ場所がないくらいのっぺりとしている。
そうやって思い出していると、「記憶」だなと思った。
底のあそこで経験したことが体の記憶に残っていて、息苦しくなってくるとその反応がぶり返してこようとする。そうなると、なかなか軽くなれない。体の記憶は、安全な時間が繰り返していくことによってしか薄らいでいかない。
だから、細切れであっても安全な時間と眠りを。

ちょうどヨモギのことを書いていたので、ヨモギの乾燥葉を買って、お茶パックに詰めて6個ぶんをお鍋で煮だしてパックごとお風呂に入れた。
漢方医の先生が「これに勝る薬湯はない」と言ってたけど、すごかった。
温泉よりも熱のあるお湯で(葉っぱそのものに温熱作用があるらしい。もぐさの材料でもあるし、火薬の原料にもなった)、でも肌に刺激はなくて、翌朝もつるつる。
今日の海はそのヨモギのことを思い出すような柔らかさだったな。

お風呂に入るときはお風呂のことを思い、なるべく心を忙しくしないこと。そして記憶がぐっと押し寄せてきても、そのこと自体を見つめすぎずにあんまり悔やまずに、好きな場所をテクテク歩こうと思った。そして笑う。そしたらフラットになってくる。

その「記憶」の持ち主であることが標識になって素敵なものと出会えたりもする。むしろそういう恩恵もある。うまいこと織り込んで、ならしていきたい。

2 Comments on “海の寝息

  1. ヨモギ、いいね。
    近くにあるか、探してみよーっと。

    今日はつくしの卵とじを作ってみたよ。
    私は腎機能があんまり良くないので、いっぱいは食べてはいけないようなので
    ちょっとだけ作って食べてみた。
    なかなか美味しかったよ。

    先日お隣のお婆ちゃんが割れた大根の先っぽを持ってきてくれて
    すごく新鮮なのが分かったので、大根ステーキやサラダにして食べたら
    ものすごく美味しくて。
    ああ、旬のものって、採れたてって、ものすごくフレッシュで美味しいんだなーって。
    わすれてたよ、こういうの。

    って、自分のブログに書けって話。笑

    微妙な日々の変化も心持ちも、本当に自分でしか
    コントロールできないから。ごまかし万歳!テキトー万歳!って思って
    上手にバランスとったら勝ちだと思ってる。
    負ける日もあるけど。笑

  2. umiさん
    つくしんぼ食べたんだね。
    ちょっと食べるぐらいがいいのかも。春の解毒作用だー。

    大根って、持つと良さがわかるよね。
    おいしい水がたっぷり入ってる感じがわかる。
    おいしそーう。

    今日はこぐまとたくさん歩いたよ。汗かいたー。

    うん、バランス、とれるときはしっかりとろう。
    負けてもまた勝っていこ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です