日常

月と飛行機

おー。クジラみたいな雲がのっしりしてるーと思ってベランダに出た。

爪みたいな薄い月、左から飛行機がやってきた。

会いたいという言葉が浮かんだ。

誰にというわけでもなく、この空をどこかで見ている人の会いたいという気持ちと同期するような、とくに強いベクトルのない会いたい感じ。

思えば、強く会いたいと思いその気持ちを繰り返し上書きするうちにだんだん独りよがりさが強まり自らの不協和音に蝕まれていったことがあった。軋んで、錆びていく。

仕事でも、すごくやりたいと思うより、人に請われてやることでちょうどよく響くことがある。そんなに期待されていないことの心地よさ。

ちょうどいい周波数で話ができる人はなかなか居ない。

その周波数にただ乗っていると軋んでたところがほどけていく。相手にとってもそうだといいけど。

「おーい」って呼びかける。この広々とした気持ちがやってきたときはしあわせ。

のっしりしたクジラは動かない。

自分も誰かにふと会いたいって思われているとしたら。ちょうど今みたいな気持ちで。

生きてていいよって言われてるみたいだな。

空って広くていいよな、と肩を組んでこようとする人からは猛ダッシュで逃げながら、

こんなふうに遠くの空を目印にする生活をする。

6 Comments on “月と飛行機

  1. 気持ちのいい空だなぁ〜

    時々 大きな気持ち みたいなものから
    自らがものすごく遠のいていると感じる時があって、
    この写真と文章を読んで、まさに今の私はそうだなと思った。

    強過ぎず思い過ぎず、嫌なことも気に食わないことも
    うんうんいいよー平気だよー
    って思える気持ち。

    でもその気持ちを持ったことがあるから
    そこに戻れるって知ってると思える自分がなかなかいいなと思う。
    もうそんな気持ちにはなれないんじゃないか、
    それは調子が良い時で今はもう違うんじゃないか、
    そう思わない自分をいいなと思った。

    ネガティヴはつまらない。
    起きてもいない不安や心配事ばかりはくだらない。
    なんでもケセラセラではいかないけれど
    それでも。

    あーーーーーーー
    私もこういう空、見たいなー

  2. umiさん
    ありがとう。
    umiさんは、この空に「大きな気持ち」をイメージしてくれたんだね。
    ああそれもあるんだなと思った。
    私は、むしろ極小で、小さな石ころになれたみたいに思った。
    寂しさも閉じ込めて丸くなったみたいにね。

    「もうそんな気持ちになれないんじゃないか」って
    私はずっと思ってた。
    いまも思ってるかも。
    それでももういいやって思ったことが安らぎだったな。

    どっちにしても着地点というか定点というか
    そういう場がどこかにあると落ち着く感じがあるね。

  3. 追記
    そう、広々とした空があったから、ちっさい自分を、それでいいかって思ったんだな。
    だから私も、大きな気持ちがあったんだなって思った。

  4. 私が思ったままを思った通りに書いちゃってごめんね。
    うんうん、違ってもいいって思ってて。
    感じ方や捉え方やずーっと持っていたい気持ちは
    みんなそれぞれ違くて、近いようで細かく見たらまた違ってて。

    私にもネガティヴはあって
    でもここで書いたそれは、最近の相方のことだったりして。
    そういう微妙な違いや重ね合わせる気持ちや想いって
    本当にみんな違う。

    どっちにしても着地点というか定点というか
    そういう場がどこかにあると落ち着く感じがあるね。

    そう!それぞれのそこを大事にそれぞれが生きれたらいいよね。
    違っても繋がってるし、時には重なるし。
    そういう感じかなと思う。

  5. そうなんだよー

    私はむしろ違うことがうれしい。

    同じワードから違うことを思っていてそれを交わし合いたい。

    自分はふたりは要らない。
    だから人と関わりたいんだし本を読みたいんだろうな。

  6. umiさん言うように重なり合う部分もあるし違うところは違ってるのが面白いとコメントを読んでて思ったよ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です