日常 - 言葉について

浸透圧

今朝、梅酒と梅ジャムを作った。岡山からうちにやってきた大ぶりの梅は梅酒に。小田原からやってきた傷のある梅のほとんどはジャムに。
お酒飲まないのに今年は梅酒を作りたくて、でもホワイトリカーというのはあまり面白くないのでウォッカで作ってみた。

梅の実って赤ちゃんの手の甲みたいな手触りがする。産毛が生えてて、触れるとこっちに押し返してくる柔らかさ。あたたかさ。
どうして砂糖じゃなくて氷砂糖を使うんだろうと調べてみたら、梅酒は浸透圧の働きでできあがることを知った。

濃度の薄い側から濃い側に移動する圧力が浸透圧。
梅とアルコールと砂糖を瓶に入れたときは梅の実のほうが「濃い」から、梅の実のなかにアルコールが移動していく。時間とともに氷砂糖のかたまりが少しずつ溶けると梅の周囲のほうが「濃く」なるからこんどは梅の実から水分とアルコールが出ていく。このとき梅のエキスが引き出されてまろやかな味になる。ゆっくりゆっくり。

だから、ガシャガシャびんを振ったりしないほうがいいんだな。静かに置いておくだけで砂糖がじわっと溶けて、勝手に美味しくなっていくんだから。

いま、「アドバイス」についての原稿を書いている。例えば海外旅行に行きたいという人がいて、海外旅行経験が多い人であれば話を聞いてアドバイスができる。でも生き方の話で、有効なアドバイスをしようとしたって大概は、ずれている。相手のことを詳細に知っているわけでもないし。でも、一生懸命話しているうちに、アドバイスを求めていた人は勝手に自分で整理されてくる。一つしか道はないと思っていたのが、別のやり方があるのかもと思える。自分が引っかかったのはこの部分だったのかということが見えてきたりする。
有効なアドバイスなんてもらえなくても、「それは大変なことだよ」と本人の難しさや大変さをわかってくれる人がいるだけでいい。

こぐまは、5月から6月にかけて、なかなかしんどそうだった。サークルも、二人組で参加してる子ばかりで話ができない。バイト先の日本料理やさんでも、偏見だらけの会話、お客さんのことを厨房で悪くいう、みたいな空気がつらい。そんな会話がずっと続いていて、いったい何を言ったらいいんだろうと思いながらいっしょに唸ってた。それでも明日また行くしかないね。やめてもいいね。そんな繰り返しで、私の方はこぐまを送り出す体力気力を維持してるだけだった。物事は竹で割ったように解決するわけではなくて、落ち着きどころを探っていく日々なんだろうな、夜が来て朝が来て。そんな感じだった。

この間、心許せる人たちと仕事の場にいるとき、ふと、一人だなと思う瞬間があった。この人も家に帰り職場があり、私は今日の空気や会話を原稿にまとめて、という導線みたいなものがそれぞれに引かれていて、このあとくるっと方向を変えて私は自分の線の上を歩いて帰っていくんだな。その線は、どっちに伸ばしてもいい、と思ったら、周囲の景色が明るくなった感じがした。

カウンセラーの先生は、「僕がカウンセリングでやっているのって、話題を続けるための会話だよ」という。
「そんな会社辞めちゃえばいいのに それはどう?」と聞く。
「いやーお金がないからそんな簡単には辞められませんよ」と相手が答えると
「お金、どのぐらいないの?」と続けていく。

自分が解決法を示さなきゃと気負っていたからあんなに疲れていたのかも。
こぐまはこぐまの導線で、人と話したり、黙ったり、てくてく歩いてたりするんだから。

4 Comments on “浸透圧

  1. なにをしていても(今回は梅の仕込み)
    この感じ方 が私をホッとさせてくれるなぁ って思って読んだよ。

    梅ちゃんたち、美味しくなるといいね。
    ジャムも美味しそうだなぁ、美しい色合い。

    「導線みたいなものがそれぞれに引かれていて、このあとくるっと方向を変えて私は自分の線の上を歩いて帰っていくんだな。その線は、どっちに伸ばしてもいい、と思ったら、周囲の景色が明るくなった感じがした。」

    本当にそうだね。
    時々自分の線を見失ったりもするけれど
    今回書いてくれたことをちゃんと心に刻んで って思ったら、なんか私も明るい気持ちになった。ありがとう

    私も今、気が付いて欲しい人が周りにいるんだけど
    勝手に上手に根回ししたり、足りないところを補おうと必死なんだけど
    (しょうがないで済ませたくなくて)
    少し躍起になっている自分にも気が付いていて。

    ある程度 までやったらもう、そこからは様子見だなと思ってる今。
    見放したり試したりするのは嫌だから、ちゃんと「いつでもここにいるよ」って言う灯台の明かりはちゃんと灯していたい。
    「ああそうか、あそこがあったか」って思って気が付いてもらえるようになるといいと思ってる。

    こぐま、同じような日々日々。
    ちゃんと他のところで浄化して、でもそういう世の中があることも知るのはあってもいいと思う。
    良いも悪いも知っていないと分からないこともあるからね。
    頑張れ!

  2. umiさん

    ありがとう、そんなふうに受け取ってくれると思うと、また書こうと思える。

    いつでもここにいるよっていう灯台のあかりは、まさに私にとってのumiさん。

    つらくなっても、うれしくなってもなんか報告したくなる。そう思うと、じわーっと涙が出たよ。梅が汗をかくように!

    気づけないときは気づけない。いつも誰かや自分を攻撃していたなあって私は今だからわかる。

    でも、すこしずつ働きかけてくれているっていうことはちゃんと体に染み込んでいるから、作用してくると思うよ。

    こぐまはきのう、やめる電話をしたよ。緊張して、電話したあと、緊張したーって言って泣いてた。

    今日はこぐまと一日、出かけてくるね。いつもありがとうね。

  3. こちらこそだよー

    やっぱりさ、あの時もそう思ったけど
    初めて会った時からもう全開で心許せてたし
    そういう人ってなかなかおらんよ。貴重✨✨

    そっか、こぐま、よく判断して決断したね。
    本当にさ、いなくても良い場所にはいないようにする って正しいよ。
    でもそういう人間もいて、そういう溜まり場もあるって
    知って自分はそうならないように、、、って思うことで
    マイナスをどうにか自分への改善でプラスに変えよう。

    頑張った!こぐま✨✨

  4. umiさん

    いなくても良い場所にはいないようにする、そこはぱっと判断したいね。
    プラスに変えていくきっかけにもしていきたいよね。

    こぐまにエールをありがとう。

    なんだか心落ち着かず、今日もこぐまとバイト先へのお菓子をいっしょに買いに行ったり
    こぐま部屋の模様替えしたりしていて、これから締めきり作業だー

    家のなかが変わっていくの、空気が通っていいね。umiさんもがんばって。

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