『消えた冒険家』ローマン・ダイアル著を読み終えた。
原著のタイトルは、「冒険家の息子」。
著者が冒険に目覚めて研究者として冒険をし、家庭を作り、
家族で世界の冒険に出て――そして息子からのメールが途切れて、
というノンフィクション。
あのときどうしてもっと早くメールを見ていなかったのかという葛藤、
これから息子が計画している行程について、そのリスクを指摘する文面を書いておきながら消して、送り出したことへの後悔。喪失が体も蝕む。ひとりむせび泣くことも、景色を見るたび思い出すことも著者は惜しみなく綴る。
息子を探す探検の中で、著者は家族、友人たち、
失踪を知って支援してくれた人たち、
コスタリカで新たに築いたつながりに支えられる。
そのぬくもりに著者がなんとか意志をつなぎ止められていたことがよくわかる。
YouTubeで動く彼らを見たけれど、
繊細で優しそうな人達で、よけいに寂しかった。
ジャングルがまるで生き物のように描かれていて、
その音やにおいに埋もれるように読んだ。