血中アルコール濃度0.05％

「アナザーラウンド」2020年　デンマーク
監督：トマス・ビンターベア　原題：Druk　　

デンマークのおじさんになりたいと思った。同じくマッツ・ミケルセン主演の「ライダーズ・オブ・ジャスティス」もおじさん仲間がかわいくてかわいくて小学生のままみたいで眩しかったから。

デンマークドラマが好きだ。言葉のイントネーションがちょっと東北弁ぽいというか韓国語にも似てる。だからこの映画もずっと耳が心地よかった。

おじさんが可愛い、と、デンマーク語の響きが好き、のふたことで終わっちゃいそうだけど、あらすじは書きたくない。ぜひ真っ白のまま観てほしいので。

かつてバレエを踊っていたんだ、というマッツ・ミケルセン演じる高校の歴史の先生がめちゃくちゃに踊るシーンがある。

台詞のなかでは「ジャズバレエ」と言っていたけどコンテンポラリーに近かった。習っていたときのことを思い出した。内側からエネルギーを回していくように回転して跳躍する。あの軽さを出すためには体幹とバランス力が必要で、レッスン時間のほとんどはそのバランス作りの地道な動きの繰り返しだった。ダンスは内側と向き合い続けること。誰に見せるものでもなく磨いてるうちに人が観て美しいものが生まれていく。ダンスをやめてもう4年が経ってしまった。でもダンスってレッスン場でやるものじゃなくてこんなふうにどこでも踊ればいいんだな。

マッツ・ミケルセンって蛾みたい、と今回も思った。儚くて、涙を流すときに鱗粉が舞い散るようにきれい。